夏バテ予防や水分補給に甘くて丸くてみずみずしいスイカを食べよう。

スイカ 食事のあとに嬉しいデザート

 スイカは古くから解熱効果が期待される薬としてまた暑い地域では水分補給に最適な食品として重宝されてきました。また皮や種にも豊富なミネラルやたんぱく質が含まれていることから種のみを食べたり、皮を煮て食材として活用してきました。スイカには体に必要不可欠なほぼ全てのアミノ酸も含まれます。スイカは正に健康食品と言えます。カロリーも低く食物繊維も含まれ美容にも良く夏のデザートにもなるスイカ。今回はスイカのあれこれについて切り分けて解読してみることにします。

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先ずはスイカの起源を探ってみよう。

水分補給や種を食べる為に栽培されていたスイカの原種であるシトロンメロンとエグシメロン。

エグシメロン
西アフリカ原産のエグシメロン。

 スイカは果実を食用とする為に作られるウリ科のつる性一年草またはその果実のことです。園芸分野では野菜に分類されますが栄養学では果実的野菜とされます。昔はそれほど甘さもなく水分補給の目的で食べられていました。リビアでは5000年以上前の集落の遺跡からスイカの種が見つかったり、4000年前のエジプトの壁画やツタンカーメンの墓からも種が発見されていて短い毛で覆われたシトロンメロンというスイカの原種が既に存在していたとされます。アフリカ南部のカラハリ砂漠では野生のスイカが栽培されていました。根がとても長く地中深くまで伸びているため極度に乾燥した砂漠地帯でも水分を吸収することができます。野生のスイカの表面は白く光を反射する為に強い日差しにも耐えることができます。野生のスイカの遺伝子を組み換えて乾燥した地域で水が少なくても育つイネや干ばつ地域でもすくすくと育つトウモロコシの栽培が研究されています。

 西アフリカ原産のエグシメロンもスイカの原種とされます。エグシメロンはスイカの果肉を捨てて種のみを食べる為に作られています。古代ローマでは税金として収めたり旅の途中に飲むものとして持ち歩いていました。果肉はオレンジがかった黄色をしていて形は楕円形であったとする記録も残っていて改良され嗜好品として食べていたと考えられます。イスラエルの文献ではイチジク、ブドウ、ザクロと同じ種類に分類されています。改良されたスイカの果肉は黄色であったとされます。14世紀のイタリアの『健康全書』(健康的な生活を送るための指南書)には果肉が赤いスイカが描かれています。

 日本には大正時代にポルトガル人が長崎にかぼちゃと共に持ち込んだとされているが一説には中国から既に平安時代には渡来していたとする節もあり、中国の臨済宗の僧侶である隠元禅師が京都の宇治に寺を開くために来日した際にもたらしたという説もあります。昭和2年には兵庫県明石群林崎村の農家である竹中長蔵が接ぎ木栽培を開発しました。

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「ところでスイカはどうやって作るか知ってますか。」

家庭菜園で美味しいスイカを育ててみよう!!~種まきから定植、剪定、人工受粉そして収穫までの流れ。

 スイカはどのように作られるのでしょうか。アフリカ原産のスイカは高い気温と強い光を好む水はけのよい土壌で育つ野菜です。苦土石灰という岩石を使いやすいように粉末や粒状にした炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムを主成分とする土壌です。スイカの栽培には苦土石灰を使用することで直ぐに植え付けることができるので大変便利です。苦土石灰などの石灰は雨で酸性に傾いた土壌をアルカリ性に中和する作用があります。野菜や果物のほとんどはアルカリ性の土壌を好みます。苦土石灰はリン酸の吸収を助け植物内の酵素の働きを強めて、雨で流されるカルシウムやマグネシウムのミネラル成分を補給します。

 最初にポットで育て本葉が4~5枚になったら直植えします。葉が5~6枚生えてきたら親づるを切り落とし最初の子づるも摘除して次から4つ目までの子づるを伸ばします。雌花が開花したら人工受粉し2果のみ残して摘果します。水を与えすぎないようにしアブラムシなどがつかないよう風通しの良い場所で育てて1ケ月ちょっとで収穫します。栄養を十分に与える為に1本のつるに1果を実らせるのが原則です。かぼちゃやカンピョウなど病気に強い品種の根に接ぎ木することでつる枯病などの病気に強い美味しいスイカが出来上がります。万が一に病気になった場合でも接ぎ木栽培により病気を回避することができます。

①種まき4月下旬から5月上旬に種まきをします。南の地域にいくほど種まきの時期は早くなります。ポットに穴を掘り3~4粒まいて土を被せ手で軽く抑え水やりをします。発芽後本葉が1~2枚の時に2本に間引きし、本葉が2~3枚になったら1本立ちとします。発芽までは25℃~30℃に保温し本葉が4~5枚になるまでポットで育てます。
②定植の準備種まきから3週間した頃畑に苦土石灰を施し耕します。4週間したら堆肥と元肥を散布して周りの土を被せ盛り土をして黒のポリマルチをし定植し水やりする。晩霜の恐れがある場合にはホットキャップを被せるか新聞紙で囲み保温します。ウリバエが葉を食べてしまうことも防げます。
③枝を整える。親づるの本葉が5~6枚で摘芯し第1節の子づるは摘除し次からの4つ目までの子づるは残します。子づるが伸びてきたら絡み合わないようにまた気温の上昇を抑え泥の跳ね返りがないようにワラを敷くか支柱に巻き付けます。つるを支柱に巻き付ける時には斜めにしてつる先は伸びたら細目に絡ませます。
④着果させる。各子づるの第2雌花が開花したら晴れた日の朝9~10時の間にその日に咲いた雄花の花粉を雌花につけて人工受粉します。最初は雄花しか生りませんがその内に雌花も開花するようになります。つるは伸びが早いのでこまめに摘み取って風通しと日当たりをよくします。着果が卵大の時に長卵形のものを2果残します。追肥は子づるが50cmくらいに伸びた時と果実が卵大になった時に行います。元肥はつるぼけするのでなるべく追肥に重点を置いてやる。
⑤果実を吊り下げる。果実は大きくなるとつるに負荷がかかるので紙袋に入れて吊り下げるか支柱から吊るすようにします。吊り下げることにより日がまんべんなく当たり色艶が良くなり甘いスイカに育ちます。
⑥水やりのし過ぎに注意しながら風通しをよくし害虫などが付かないように注意する。
(主な害虫)
つる割病…植物の葉が萎れ茎の根元に近い部分が割れる病。
つる枯病…葉に斑点ができる。茎の地面に近い部分が褐色に変色しやがて枯れる病。
アブラムシ…茎や根などの樹液を吸う。伝染病の原因となり枯らすこともある。
ハダニ…葉の裏側に寄生して養分を吸う。葉が変色し枯れる。白い斑点やかすり傷がつき落葉する。

つる割病、つる枯病は一度かかったら取り返すことができないので抜き取り処分します。アブラムシの場合は風通しの良い場所で育てること、ハダニは日の当たる場所で育てることで回避することができますが付いてしまった場合は牛乳を薄めたもので洗い落とすことができます。ハダニの場合はセロテープやガムテープで取り除きます。
⑦開花して30日過ぎたらそれまで日陰にあった側の果実の面を日の当たる向きに置き直し40~50日後に収穫します(こだますいかは35~40日後に収穫します)。手のひらで叩いて鈍い音がする頃あるいは果実のなつている巻きひげが枯れてきた頃が収穫する目安となります。人工受粉の時には日付のラベルを貼っておくと収穫時期が一目で分かります。収穫が遅くなると果実は崩れて粉っぽくなり収穫時期が早すぎると熟し切れず甘さが今一つとなります。
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「スイカを美味しく食べる方法はある?」

スイカをより美しく美味しく健康に無駄なく食べる為に気をつけることは?〜スイカの食べ頃と切り方〜

スイカのシャーベット

 せっかく買ってきたら一番美味しい時に食べたいとは誰もが思うものです。では買ってきたスイカは何時が食べ頃なのかということになります。スイカは高温で乾燥した気候で育つ野菜です。その為に極度に冷やし過ぎると甘さが失われます。なるべくなら買ったそのままの状態で風通しの良く日の当たらない場所に保管します。バケツに水を張りスイカを入れたらタオルで日差しを遮るようにし出来れば水をタオルの上からかけておくのが理想です。つるから切り離した途端に鮮度が落ちる始めるのでなるべくカットしていなくても2週間以内に食べるのがポイントです。食べる1時間くらい前に冷蔵庫で冷やしておきます。理想の温度は8℃~10℃と言われます。塩をかけて食べることで夏場に汗をかいて失われる体の塩分の補給にもなります。

 カットする時には真ん中がより甘いので中心から放射線状にカットします。カットラインは種がある所です。先ず初めに半分に切ってから中心から放射線状に種のある所に沿って切るようにします。真っ直ぐに均等に切れます。

 スイカには利尿作用があり余分な塩分や水分は体の外に排出してくれます。だからと言って食べ過ぎは水分の取り過ぎとなりお腹を壊す原因になりますから程々に食べるようにします。厚生労働省と農林水産省は生活習慣病予防のためにスイカを1日に200g程度食べることを推奨しています。カットスイカの小さめで2切れ程度の量です。

 皮にも栄養が豊富に詰まっていす。煮ると瓜のような味が引き立ちます。漬物にもなります。また種にも栄養が含まれます。

 アフリカ西部で摂れるエグシメロンは種を食べるために栽培されます。西アフリカでは種をすり潰して干し魚と肉と野菜で煮てスープにしたフーフーをキャッサバ、ヤムイモ、トウモロコシなどをペースト状にしたものと一緒に食べます。

 どうしても食べきれない場合はシャーベットにする方法もあります。種を取り除いたすり潰した果肉だけの状態にしたスイカを保冷袋に入れ平たく伸ばして冷凍庫で凍らせます。解凍してシャーベットとしてそのまま食べるのはもちろんですがキウイフルーツやバナナと一緒に炭酸水で割るとフルーツポンチになりますし3分自然解凍させミキサーに入れてはちみつを加え水大さじ2杯を入れて攪拌してスムージーにすることも可能です。

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スイカにはどんな栄養素が含まれているのだろうか。

夏はスイカを食べて健康に乗り切ろう!!スイカは驚くほどに栄養価が高い100点満点の野菜。

1.スイカに含む主なビタミンとミネラルそしてアミノ酸。

 スイカは夏に最適な食べ物と言いますが具体的にはどのような効能が期待できるのでしょう。主な成分を見ていくことにします。

(ビタミンとミネラル)

カリウム果肉や種子に含まれる。疲労した筋肉を早く回復させ体内の余分な塩分を排出させて血圧を下げる。血中コレステロールを抑え動脈硬化を防ぐ。
リコピン活性酸素を減らし体の機能の老化を防ぐ。呼吸器系の免疫力を高める効果もある。
βカロチン200g当たり1600㎍含む。赤肉系品種に含む。ビタミンAに変換され新陳代謝を促し肌の老化防止、目の粘膜にもよく疲労回復効果もある。活性酸素の発生を抑えることで老化防止にもなる。
カルシウム骨を作る材料となる。
ビタミンCコラーゲンを生成し肌に潤いを与える。カルシウムの吸収を助ける。細菌やウイルスに対する免疫力がつく。
マグネシウムカルシウムと共に骨や歯を作る。

(アミノ酸)

シトルリン200g以下の未熟果に多く含む。皮の近くの部分に赤肉の2倍含む。血管を拡張することで血圧を下げ、血流も良くなることで手足のむくみの改善をはかる。肌の弾力を保ちハリとツヤをもたらす。アフリカ南部原産のシトロンメロンやアフリカ西部原産のエグシメロンはシトルリンの保湿の作用により過酷な乾燥したアフリカのような土地でも生育する。スイカ特有のアミノ酸である。
アルギニンシトルリンと同時に摂ることで血管拡張、血流促進がなされ酸素と栄養素の運搬力が早まり筋肉への糖の取り込みが強化される。
アスパラギン酸カリウムやカルシウムを体内に取り込み手助けをする。

2.エネルギー補給にはエナジードリンクの代わりにスイカはいかが。

 スイカの95%近くは水分です。残りの数%は糖分が占めます。スイカの糖分にはブトウ糖、果糖、ショ糖の全てが含まれます。ブドウ糖はごはんやパンなど炭水化物に含まれる糖質が体の中で分解されてできる糖で脳の栄養源です。果糖は果物に含まれ、ショ糖は砂糖に含まれます。ブトウ糖、果糖は直ぐに体に吸収されます。ショ糖はブトウ糖と果糖が結合した糖で吸収に時間がかかります。糖が吸収されることにより筋肉を動かしたり呼吸をしたりする為のエネルギーとなります。体への吸収速度が違う3つの糖が含まれるスイカはエネルギーを持続させるのに最適な食品と言えます。最初にブトウ糖や果糖が分解されてエネルギーとなり遅れてショ糖が分解吸収されて体に取り込まれるのでいつまでも体力が持続するのです。

3.夏風邪、脱水症状、二日酔いに抜群の効果を発揮するスイカ。

 スイカには水分が突出して多く含まれます。その為水分補給に最適な食品とも言えます。例えばスイカにも含まれるビタミンCには細菌やウイルスに対する免疫力がつくという効果が期待できますからインフルエンザや風邪などの予防になりまが万が一に発熱した場合でもスイカの水分が熱を下げてくれます。またアルコールを大量に摂取すると肝臓で酵素により分解されてアセトアルデヒドとなり更にアセテート(酢酸)となって排出されます。水分を摂ることでアセトアルデヒドが薄まり息や尿、汗となり排出されやすくなります。アセトアルデヒドが十分に分解されないままに体の中に残り脳に到達すると脳の神経を麻痺させ手足がふらついたり、毒性がある為に胃もたれ、胸やけ、吐き気、動悸、頭痛といった症状に悩まされます。いわゆる二日酔いの状態です。二日酔いを改善するためには体内にあるアセトアルデヒドを息や尿、汗として外に出す必要がありその手助けをするのがスイカの水分という訳です。また夏場の脱水症状を改善するにもスイカの水分量があれば十二分に可能です。

4.人の体づくりや内臓の働きに必要不可欠な司令塔であるアミノ酸を豊富に含むスイカ。

 さらに言えばスイカにはたんぱく質から生成される必須アミノ酸であるイソロイシン、ロイシン、メチオニン、トリプトファン、リジン、バリン、ヒスチジン、トレオニン(スレオニン)、フェニルアラニンが含まれます。例えばメチオニンは脂肪の燃焼を助け、トリプトファンは血管を広げて血圧を下げ緊張を和らげ、ヒスチジンは酸素を体中に運ぶ赤血球の原料のヘモグロビンとなり、トレオニン(スレオニン)は肝臓に脂肪がたまるのを防ぎます。必須アミノ酸はどうしても食べ物から取り入れる必要がある体の機能に深く関与する成分です。この必須アミノ酸が9つ全て含まれる食品は大豆などのごく一部の食品しかありません。スイカは必須アミノ酸を含む数少ない貴重な食品なのです。

 その他の体の中で作り出すことが出来るアミノ酸である非必須アミノ酸のシスチン、チロシン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、プロリン、セリンも含み分量の差はあるもののほぼ全てのアミノ酸が含まれることになります。ビタミンやミネラルがバランスよく含まれているスイカはミネラルウォーターやスポーツドリンクにとって代わるだけのエネルギーチャージに有効な食品です。

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日本にはどんなスイカがあるのか見てみよう。
合わせて海外のスイカ事情もどうぞ。

赤肉系大玉品種、種なし赤肉系品種、黒皮系品種、長形品種、黄肉系品種、太陽すいか、入善ジャンボ西瓜。

入善ジャンボスイカ

 日本では様々な都道府県でスイカの収穫が行われている。
そこで先ず収穫量を都道府県ごとにランキング形式で表します。

1位.熊本県『肥後浪漫』(赤肉系大玉品種)
2位.千葉県『甘太郎』(赤肉系大玉品種)
3位.山形県『尾花沢すいか』(赤肉系大玉品種)
4位.新潟県『八色(やいろ)すいか』(赤肉系大玉品種)
5位.長野県『下原すいか』(赤肉系大玉品種)
6位.鳥取県『大栄すいか』(赤肉系大玉品種)
7位.茨城県『こだますいか』(種なし赤肉系品種)
8位.石川県『砂丘すいか』(赤肉系大玉品種)
9位.愛知県『祭ばやし777(スリーセブン)』(赤肉系大玉品種)
10位.秋田県『あきた夏丸』(赤肉系大玉品種)

  上記のランキングは都道府県別の2021年度の収穫量を比べました。スイカは大きさや形、縞模様の有無、地色(スイカの皮の色)、果肉の色により分類されます。7位の茨城県は種なし赤肉系品種という品種になっています。スイカは様々に品種改良がなされ産地ごとに微妙に違うものを作り出したり、商品名を新たに考えたりしてそれぞれの地域の特色や魅力をアピールしブランド化が図られています。

 茨城県はこだますいかの有数の産地であり県西にある筑西市と桜川市で作られています。種なし赤肉系品種は1.5kg~3kgのコンパクトサイズのスイカで皮が薄くて赤い可食部分が多いのが特徴です。種がなく食べやすく皮の際まで甘みがあります。冬から春先にかけて豊富な日照時間を活用し50年以上栽培されている。縞模様がくっきりしたスウィートキッズ、皮が黒くて高級感が漂う誘惑のひとみも栽培されている。

 一番よく出回るのは赤肉系大玉品種です。甘くシャリっとした歯ごたえがある食感が楽しめます。平均して3kg~5kgあり大きいサイズで7kg~9kgあります。

 肥後浪漫は熊本県植木地区で栽培されています。種から一貫して管理栽培が行われており限られた地域で販売されています。5月が旬です。
 甘太郎は千葉県富里市で栽培される。縦に長い形が特徴で果肉は硬めでシャリっとした食感です。
 尾花沢スイカは山形県尾花沢市とその周辺で栽培が行われている。盆地地形で山々に囲まれる地域なので日中暑くて夜は涼しい気候から寒暖差が激しく甘みがあるスイカが出来上がります。毎年8月には一般の人も参加することができる日本一おきい!ん~まい!尾花沢すいかコンテストが開催される。市からスイカの苗が配られ重量、糖度、空洞の有無、熟度、外観を競う大会で直面している産地の課題を常に研究しています。また尾花沢すいかを広める為にスイカ割り大会も行われている。
 八色すいかは大正時代から新潟県魚沼市を中心に栽培されている。八海山の麓である八色原は保水力のある黒色火山灰土で山々に囲まれる地域で寒暖差もありスイカの栽培に適しています。
 下原すいかは長野県松本市波田地区の下原集落で栽培されている。下原集落は標高600m~800mの火山灰土で水はけも良く豊富な日照時間と昼夜の寒暖差があります。身が締まりシャリシャリした食感が楽しめる。
 大栄スイカは鳥取県北栄町(旧大栄町)で栽培されます。鳥取県では生産量が一位の認知度も高いスイカです。大栄町と言えば大栄スイカと言われる主力作物でもある。春先は日照時間も長くて光合成によりデンプンが沢山できることにより糖度が格段に高いスイカができます。
 砂丘すいかは日本海近くにある新潟県新潟市西蒲地区砂丘地帯で栽培されています。夏は高温多湿で日差しも十分に照りつける所です。祭り777(スリーセブン)は愛知県豊田市猿投げ地区で栽培されます。シャリっとして甘みが強い。
 あきた夏丸は秋田県横手市で栽培される。大玉に負けないくらいの甘さがあり硬めの果肉で瑞々しい。その他にもこだますいかのあきた夏丸チェチェ、黒皮系品種の夏丸ブラック、夏丸ブラックを改良した種なしに近い夏丸クロオニ、種なし赤肉系品種の夏丸アカオニがあります。

 その他には黒皮系品種があります。深い緑色の地色をしたもので一風変わった感じのある品種です。シャリっとした食感で美味しくその見た目のインパクトが強いことから贈答品として送られることもあります。いわゆる高級スイカに入ります。北海道の当麻町で栽培されるでんすけすいかは有名です。日持ちもよく抜群の甘さがあります。目の周りや鼻の頭を黒く塗ったユーモラスな姿でデン助として話題となった戦後の浅草劇場やテレビで活躍した喜劇俳優故大宮敏光氏にあやかり命名されました。米の代わりに田んぼで栽培されていたことから「田助」という意味合いもあります。

 また長形品種はラグビーボールのような楕円形で皮が薄く甘みがある品種です。大きさは2~4kgの小玉サイズで皮が黒い黒美人(はちきん)や姫まくらなどがあります。黒美人ははちきんと呼ばれる高知県土佐市のみで栽培される品種です。はちきんとは山形の方言で気が強く男勝りな女性を指します。怠け者であるとされる高知県の男性の尻を叩いて動かす働き者の土佐の女性気質を表すとされます。力強い美味しさと美しさ、甘さがあるスイカで最高品質を誇るとされ大玉スイカに負けないくらいの甘さがあります。生産農家はまだ少なくなかなか市場に出回らないブランドスイカです。姫まくらは山形県長井市で栽培されます。稲妻のようなギザギザした縞模様で地色である緑色の部分がとても濃い緑色をしています。模様自体もくっきりとしている。育てやすく最初に生る1果、次になる2果とも良質なものが収穫できる。家庭菜園にも適しているスイカです。

 黄肉系品種は果皮が緑色で果肉が黄色でクリームスイカとも呼ばれる。大玉と小玉がある。おつきさまは大玉で黒皮系品種のスイカを何とか作り出したいと試行錯誤の末にようやく完成したスイカ。商品名はおつきさまですが登録品種名は大黒黄です。黄色の果肉が柔らかくさっぱりした上品な甘さが感じられる。中の空洞が0.3%の秀品はギフト用西瓜としても出荷されます。ひまわりは北海道北竜町で栽培する糖度11%以上あるすっきりした甘さの黄肉系品種のスイカです。重さは1.8kg~2.5kgあります。北竜町はひまわりの一大産地であることから黄肉系品種の栽培を考え出した。

 太陽すいかは果皮が黄色く果肉が赤いスイカで栽培すると葉脈や葉が黄色くなります。珍しい品種で重さは7kgあります。埼玉県では金のたまご、鳥取県、山形県では愛媛ひなたが栽培されています。金のたまごは埼玉県さいたま市で栽培され2.5kg~3.0kgあり若干濃い模様があり香りもある。愛媛ひなたも濃黄色模様をしていて果肉は桃紅色で身は締まっている。

 入善ジャンボ西瓜は富山県入善町が産地の楕円形の巨大なスイカです。重さ15kg~20kgもあり明治20年頃に大型で楕円形の実をつける品種を導入したのが最初とされる。黒部川流域の中でも入善町は特に栽培が盛んに行われていた地域で大正から昭和にかけては全盛期でした。入善スイカ或いはたわらすいかとも呼ばれ歯ごたえがあって上品な甘さのするスイカです。ワラで編んだサン俵で梱包し配送します。

世界の収穫量の70%以上を占める中国、トルコ、インドでのスイカ事情。

 世界に比べれば日本の収穫量はそれほど多くはないのが現状です。1990年(平成2年)頃から中国の収穫量が増えています。世界の収穫量では中国は第1位です。中国では唐の時代から既にすいかが食べられていたと言われています。唐の陶器にはすいかの絵柄が記されています。暑さが厳しく湿度が高い広東、香港、台湾では水分補給するためにスイカを食べます。収穫量に比べて輸出量はほんの数%程度しかなく収穫したスイカのほとんどは自国で消費します。また日本のように甘さや品質を重視するということはなくミャンマーなど零細農家が多い国からも大量に仕入れています。それ程高い輸入基準がある訳ではなくミャンマーの農家にとっては中国は最大の売り手市場となっています。トラック1台単位から取引されていて技術や資金に乏しいミャンマーの零細農家にとっては規模が小さくて参入しやすくなっています。

 スイカはもともとアフリカからウルグアイを経由して中国へと渡った野菜という意味で西瓜と表記されるようになったものです。そして中国から日本に渡りました。かぼちゃもその一つでポルトガル人がカンボジアに持ち込み、中国そして日本に持ち込まれました。南瓜と書くのはその為です。中国を基準に地球の位置関係を表し西瓜(すいか)、南瓜(かぼちゃ)としたのです。こうして考えると中国人にとってスイカは主要な夏野菜の一つと言えます。

中国に住む人々は冬瓜、苦瓜、節瓜(早生の冬瓜)、黄瓜(きゅうり)、老黄瓜(完熟きゅうり)、絲瓜(へちま)、越瓜(白瓜)、南瓜(かぼちゃ)など瓜類をよく食べます。東洋医学にある医食同源という考え方が根幹にある中国では食べ物によって体調を整え病気になりにくい体を作るという思想があります。瓜は水分が多く食べて暑さを回避する考え方があるのです。中国ではスイカは5kg当たり160円~320円で売られているので中国の人々は日本のスイカの値段を見て驚嘆の声をあげます。

 トルコでは南東部の都市ディヤルバクルが特にトルコのスイカとしては最大とされています。主に観賞用として販売され毎年大きさを競うコンテストが開催されています。果皮は濃緑色で皮の表面には薄緑色の縞模様があり直径は30cmほどです。日本の赤肉系大玉品種に当たります。日本ではスイカに塩をかけて食べますがトルコでは白チーズと一緒に食べるのが普通です。白チーズの塩味と酸味がスイカの甘みと旨味を引き立てます。値段は1玉で100~300円程度です。

 インドでは種を取り除いた果肉の部分を水分を絞ったヨーグルトと一緒に混ぜてガラムマサラと合わせてチリパウダーをかけて食べます。インド北部ラージャスターンで食べられるスイカのサラダです。スイカの種はサモサ(じゃがいも、玉ねぎ、えんどう豆、羊の挽肉をミンチにしてクミン、コリアンダーシード、ターメリックなどの香辛料で味付け餃子のような皮で包み揚げる料理。)に混ぜてプチプチした食感を楽しむ食べ方もある。またスイカの種を炒って食べることもします。インドでは露天でもスイカを販売しています。インドでもスイカは日本のように高くはなく1玉で130円程です。

ここで2019年度の世界の収穫量を見てみます。

1位.中国 60,685,23766.4%
2位.トルコ 3,870,5153.9%
3位.インド2,495,000 2.5%
4位.ブラジル2,278,1862.3%
5位.アルジェリア2.206.8662.2%
6位.イラン1,930,6921.9%
7位.ロシア1,785,2771.8%
8位.アメリカ1.680,5141.7%
9位.エジプト1.583,9181.6%
10位.メキシコ1.345,7051.3%

 全体に占めるパーセンテージを見ると中国、トルコ、インドで実に70%以上を占めています。その中でも中国が突出しているのが分かります。中国の南方に位置する広東、香港、台湾は一年を通して南国のように温暖な地域なのでスイカは水分補給に欠かせません。また北部でさえもこたつに入って体を暖かくしてスイカを食べる習慣があります。このように中国全土でスイカは1年を通して食べられます。中国のことわざに「胡麻を拾ってスイカを捨てる。」ということわざがあります。1粒の胡麻を拾うことで大事なスイカを捨てるつまり物事の順番や大小の分からない人を例えています。また「西瓜は土で作れ南瓜は手で作れ。」はスイカを作るには肥料と土壌が大事で南瓜を作るには念入りに手入れすることが大事であるということわざもあります。ことわざにも用いられるほどスイカは中国では日常的に食べられる身近な食べ物なのです。

スイカについて色々と見てきました。スイカについてどのような思いを抱きましたか。この夏は少しばかり違った観点からスイカの新たな一面を見つめてみてはいかがでしょう。

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