一年を通して栽培されるナス目ナス科ナス属の植物。

じゃがいも あなたはどうやって食べる?様々なメニューを生み出す食材。

今回も身近な私たちの食べ物についてお伝えします。

●南アメリカ大陸アンデス山脈ペルーチチカカ湖畔生まれ

●日本にはオランダ人により東南アジアのジャカトラからやって来た

●地下に実るので踏み荒らされることもなく寒冷地でも育てやすい

●飢饉対策として山梨と北海道で栽培された

●明治維新以降の北海道開拓に利用された

これは一体どんな食べ物でしょうか。ヒントは生産国アメリカの天候不順や輸送ルート上のバンクーバー港の大規模洪水による輸送船の遅延により不足した食べ物です。答えはじゃがいもです。

もともとじゃがいもは南米のアンデス山脈の標高3000m~4000mの高地で栽培されています。乾燥ジャガイモを保存して食べており米や麦を育てていないアメリカ大陸で保存が効くじゃがいもは文明の先駆けとなりました。

じゃがいもは世界の台所を満たす食べ物として地球の至る所で生産され愛された。

 じゃがいもはスペイン人が南米のインカ帝国を制服し持ち帰ったのを機にフランスやドイツ、イギリス、隣国のポーランドへと広まっていった。

 ドイツ北部のヨーロッパ貴族のホーエンツォレルン家の統治国は寒冷な瘦せた土壌で荒地でも育つじゃがいもが重宝されました。馴染みのない奇異な食べ物としてなかなか普及せずにいましたが食べ方を手引書で紹介したり大王がじゃがいも令を出し普及させたりして次第に広く受け入れられるようになります。今では料理200種類以上知らないと嫁に行かれないと言われる程にじゃがいも料理は数多くあります。

 フランスではルイ16世が王妃マリーアントワネットにじゃがいもの花飾りをさせ夜会に出席させたところ貴族の間で関心が広まったことでじゃがいもの栽培が行われることになります。フランスの農学者であったパルマンティエは何とかじゃがいもを世に広めようと昼に護衛をつけてじゃがいも畑を見張らせてはどうかと王に提案します。夜になり見張りが解除されるとじゃがいものことを聞きつけた者が現れてじゃがいもを盗む出します。こうしてじゃがいもはフランス全土で栽培されるほどに広がりました。

 イギリスでは芋を食べるという習慣がなかったので茎や葉を食べて食中毒になる人が続出したほど根を食べるじゃがいもは珍しい作物でした。聖書では悪魔の植物と謳われそれ程までには広まらなかった。ところが産業革命以降に労働階級の食糧として安くて栄養価が高い食品が希求されると次第にイギリスでもじゃがいもが生産されるようになります。

 イギリスからは隣国のアイルランドへ広まります。麦が主要品目のアイルランドではイギリスの植民地であった時代に麦を地代として収めていました。イギリス人は自分達の麦の取り分を増やす為に農民にじゃがいもを主食にするように栽培を勧めます。じゃがいもの疫病が流行しじゃがいも飢饉が起こるほどにじゃがいもは農民の間に広まりました。ジャガイモ飢饉では100万人の人々が疫病によりチフス、赤痢、コレラなどで犠牲となります。アイルランド人の中には北アメリカへと移住する人もいまいた。

 国際連合食農業機関(FAO)ではイモ類の中ではじゃがいもが最も生産量が高くアジア・ヨーロッパが各4割を占めます。中緯度から高緯度にかけて分布している。

(2014年全世界に於けるじゃがいもの生産量)

 第1位.中国9557万トン(25.0%)
 第2位.インド4640万トン(12.2%)
 第3位.ロシア3150万トン(8.3%) 
 第4位.ウクライナ2369万トン(6.2%) 
 第5位.アメリカ2005万トン(5.3%) 
 第6位.ドイツ1160万トン(3.0%) 
 第7位.バングラディッシュ845万トン(2.3%) 
 第8位.フランス809万トン(2.1%)
 第9位.ポーランド769万トン(2.0%)
第10位.オランダ710万トン(1.9%) 

(2021年都道府県別じゃがいもの生産量)

北海道1,732,000トン(78.6%)
鹿児島   85,400トン(3.9%)
長崎県   84,600トン(3.8%)
茨城県   42,100トン(1.9%)
千葉県   28,100トン(1.3%)
長野県   16,400トン(0.7%)
福島県   16,300トン(0.7%)
青森県   14,600トン(0.7%)
静岡県   11,600トン(0.5%)
宮崎県   11,200トン(0.5%)

 日本にはオランダ人によりジャガタラから長崎に伝わったのが最初です。帝国海軍の軍事食として長崎で広まります。

 北海道では明治維新以降に農業開拓が始まったのを契機として外国産のじゃがいもの品種改良が盛んに行われます。男爵は実業家の川田龍吉がアイルランドの苗から品種改良させたものです。男爵という名前は川田男爵に因んだものです。川田龍吉は函館港の専務取締役で大農場主であった。医者であり蘭学者(オランダ文化を研究し普及させた人)である高野長英や旗本中井清太郎、大木草学者(薬用植物学者)である小野蘭山、探検家である最上徳内などもじゃがいもの栽培を広めました。

 鹿児島の伊唐島では温暖な気候とミネラル成分が豊富な潮風がじゃがいも栽培に適している。水はけが良い土壌も好条件です。鹿児島県ではデジマ、ニシユタカ、ホッカイコガネ、メークインなどが栽培されています。

 茨城県と千葉県は茨城県東部の大洗岬から千葉県東部の犬吠埼の沿岸にかけての鹿島灘の温暖で肥沃な土壌が栽培条件として適します。茨城県ではトヨシロ、とうやが千葉県では男爵、メークイン、とうやが栽培されています。

じゃがいもは日本で登録されているものだけで99品種ある。「ほくほく」「しっとり」食感別のじゃがいもの種類分け。

 じゃがいもには様々な種類が存在し日本で登録されているのは99品種あります。種類により形や皮の色、果肉の色、目(芽が出る窪んだ部分)の色や深さ、ビタミンCの含有量や粘質などが異なります。中には加工品として作られている品種もあります。アメリカ産のじゃがいもを日本の風土に合うように改良したものから最初にじゃがいもがもたらされた長崎県や明治維新以降に広大な土地があり寒冷地でも栽培が可能なことから農業改革の候補として上がった北海道で品種改良したものまで軍事用として或いはまた麦やとうもろこしに代わる農民の食糧として広まっていきました。具体的にどのようなじゃがいもがあるのかざっと日本で主に知られているものを挙げて見ました。ほんの一例ですがご覧ください。

(ほくほくした食感のあるじゃがいも)

男爵日本の代表品種。アイリッシュ・コブラーというアメリカ産の品種を試験改良した品種。目が深く果肉は白。でんぷん含有量は15%と高い。ほくほくした食感で粉拭きいも、マッシュポテト向き。
キタアカリ北海道産の品種。目が赤紫色。果肉は濃い黄色。皮は白っぽい黄色。でんぷん含有量は男爵より多くビタミンCも多く含む。
レッドアンデス(アンデスレッド・アンデス赤)アメリカ産アーリーカーズとアンデス産ソラナム・フレバを掛け合わせ品種。扁卵形。皮は濃赤。果肉は黄色。ほくほくした食感でクリーミーで甘い味がする。芽が出やすく長期保存には不向き。サラダ、コロッケ向き。グリル、フライド、マッシュポテトにも向く。
ベニアカリ果肉は白。皮は赤。でんぷん質が豊富に含まれ甘味があるのでコロッケ、マッシュポテトに向く。ビタミンCも豊富に含みます。
ジャガキッズパープル果肉は黄。皮は紫。粉っぽくほんのりと甘い。サラダ、コロッケに向く。火の通りが早く時短調理できる。
ジャガキッズ果肉は黄。皮は赤。栗のような甘みがある。ビタミンCは男爵の2倍ありジャガキッズパープルと同じく火の通りが良い。
レッドムーン「サカタの種」が生産した品種。楕円形。果肉は黄。皮は赤。さつまいものようなコクと優しい甘さがある。煮物(肉じゃが、カレー、シチュー)、炒め物に向く。ポタージュにも向く。

(しっとりした食感のあるじゃがいも)

メークイン男爵とともに代表品種。イギリス原産種。目が浅く果肉は黄白色。皮は黄。長卵形。しっとりしてきめ細かい粘質で煮崩れしない。煮物向き。低温貯蔵で甘さが増す。
トヨシロポテトチップスの原料として生産される加工用の品種。扁円形。果肉は白色。皮は淡黄白色。揚げると色合い良い。コロッケ、サラダ向き。豊かに穫れて色が白いので「豊白」。
インカのめざめアンデス産とアメリカ産を合わせて日本で改良した品種。北海道十勝地方の幕別町が主な産地です。小粒種で皮は黄色。果肉はオレンジ色に近い深い黄色。栗やナッツに似て独特の風味がある。ややねっとりしていて煮崩れは少なく煮物向き。油脂と相性が合い揚げても変色しないので洋風料理に向く。スープ、フライド、スイートポテトにも向く。
ホッカイコガネフライドポテトの原料として生産される加工用の品種。トヨシロと北海51号の掛け合わせ品種。目は浅い。長楕円形。果肉は淡い黄色。皮は淡い褐色。
はるか整った卵形。目は濃いピンク色。果肉は白。しっとりして煮崩れしずらい。サラダ、コロッケ、煮物など何にでも向く。病気にも強い。
インカのひとみインカのめざめとの交配種。長楕円形。果肉黄。皮は淡赤。ねっとりした食感で煮崩れしないので肉じゃが、シチュー、カレーなど煮込み料理に向く。サラダにも向く。
ニシマタカ赤土で作られる主要品種の一つ。長崎で交配、育成された。目が浅く。果肉は白。やや粘り気があり甘味もある。煮崩れしにくく煮込み料理に向く。
ノーザンルビー長卵形。果肉、皮ともに淡いピンク色で鮮やか。しっとりしていて煮崩れしない。色味を生かしてスープ、サラダ、ニョッキに向く。
とうや北海道洞爺湖由来の品種。長球形。目が浅く大粒の丸形。果肉は淡い黄色。カロテンやビタミンCの含有量がやや多い。低カロリー。癖がなくスープに向く。煮崩れしない。煮物向き。
キタムラサキ果肉、皮ともに紫。でんぷん含有量は高めではあるが煮崩れは少ない。煮物に向く。紫の鮮やかな色合いはフレークにも向く。

じゃがいもとさつまいもの相性は?じゃがいもとさつまいもはナス目といえども全く違う植物です。

じゃがいも
さつまいも

 じゃがいもは植物学上ではナス目ナス科ナス属じゃがいも種に分類されトマト、ナス、唐辛子などと同じナス科の植物です。ナス科に属しているのでなすの花に似た花を咲かせます。私たちが食べているじゃがいもは根茎と呼ばれる地下に埋もれた茎が丸い形に変化したものです。生姜、里芋、にんにく、蓮根、わさびなども同じです。ナス科のじゃがいもは同じナス科のトマトと接ぎ木が可能でトマトとじゃがいもを同じ苗木から収穫したり400個ものトマトが生ったり2kgほどある大ぶりのじゃがいもを生らせることもできます。

 さつまいもは同じいもなのですが全くの別物です。さつまいもはナス目ヒルガオ科サツマイモ属さつまいも種です。大根やごぼう、人参などと同じヒルガオ科の植物です。ヒルガオ科に属しているので朝顔のような花が咲きます。私たちが食べているさつまいもは塊根と呼ばれる根の部分です。さつまいもは大根やゴボウ、人参と同じく表面に白い髭が生えています。髭は側根と呼ばれる茎で対して主根と呼ばれるのが食用にしている根になります。

 じゃがいもは9月に九州で植え付け11月~12月に収穫し1月~2月に旬を迎えます(早春のじゃがいも)。10月~12月にも再度植え付けがなされて2月~4月に収穫され2月下旬~5月に出回ります(新じゃが)。更に1月~3月に植え付け5月~7月に収穫し6月~9月にかけて旬を迎えます(秋のじゃがいも)。関東では春では2月~3月に植え付け5月から6月の梅雨前には収穫し7月~8月には旬を迎えます(春のじゃがいも)。夏では8月下旬~9月下旬に植え付けし11月~12月に収穫し1月~2月に旬を迎えます(秋のじゃがいも)。北海道は4月~5月に植え付けが始まり8月~10月に収穫し9月~12月に旬を迎えます(秋のじゃがいも)。

 さつまいもは5月上旬~6月下旬に植え付け9月下旬~11月中旬に収穫します。収穫してから2ヶ月が旬です。

 じゃがいもは乾燥に強く気温が低くても育ちます。その為北海道など涼しい気候でもよく育ちます。収穫したら土が付いたまま乾燥させ新聞紙に包んで段ボールなどに入れ保存します。太陽の光にあたると発芽し緑色に変色し食べられなくなるので涼しい場所に置き直射日光を避けて保管します。

 さつまいもは湿度が高く熱帯地域の気候に適しています。収穫したらじゃがいもの場合と同じように土がついたまま13℃~15℃くらいの涼しい場所に新聞紙などで包んで保存しておきます。

 じゃがいもは温度が18℃を超えると発芽しますし10℃以下になると低温障害を起こし腐ります。糖度も落ちます。また湿気に弱く痛みやすいので風通しの良い場所でスペースを確保して保存します。じゃがいもは時間が経つと水分が失われパサパサの状態になりますが甘味は増します。

 さつまいものでんぷん質は消化しずらく腸内に到達して細菌により分解されます。

じゃがいもの栽培方法。~硬い芽が出たら植え付けて葉が黄変したら収穫する。

じゃがいもの花
じゃがいもは収穫1~2ヶ月前に花を咲かせる。

 じゃがいももさつまいもも主成分はでんぷんで食糧難の時代には小麦や米の代わりとして食べられており比較的栽培が容易に出来るので家庭菜園に適しています。さつまいもの栽培方法は別の記事で載せていますので別記事で参考にして頂きたいと思います。今回はじゃがいもの栽培方法を順番に列記したいと思います。

①種芋を購入する。秋は寒さが例年より早く訪れる時もあり寒さで種芋が腐ったり生長が伸び悩んだりすることもあり初心者にとって植え付けは難しい時期に当たります。よって初めて種芋からじゃがいもを育てたいという人は2月~3月の春に植え付け5月~6月に梅雨の季節が巡ってくる前までに収穫するのが最も育てやすい時期になります。苗木から育てる場合には十分に苗木が育つように早春の時期から始めて梅雨入りして土壌が水分を含みじゃがいもが腐ってしまう前に収穫するのが最善です。小さめで1kg20個入程度で売っている種芋を選びます。

②芽出しをする。朝から夕方まで毎日太陽の光に当てる。夜間は家に取り込みます。2週間くらい光に当てて取り込んでを繰り返すと緑や赤、紫色の硬い芽が種芋から顔を足します。発芽させることで育ちやすくなります。

③種芋を切る。大きな種芋の場合には芽出し後に種芋の窪みを目印に縦にカットします。1片40gの大きさに切り切り口が腐らないように草木灰を塗りつけて直射日光に当てて乾燥させます。草木灰は払い落としておきます。

④植え付け。幅60cm~70cm深さ100cmの溝を掘り30cm間隔に植えます。5cmくらい土を被せます。(プランターの場合:幅30cm~40cmは1株、幅80cmで2株30cmの溝を掘ります。土を被せる。)元肥は1㎡につき8:-8:-8(窒素、リン酸、カリ)の化学肥料100gと堆肥2kgを混ぜたものを1週間前に土と馴染ませておく。

⑤芽かきをします。芽が5cm程度まで伸びたら硬くて良さそうな芽だけ残して残りは引き抜きます。この時種芋は動かさない。

⑥1日目の土寄せと追肥をする。軽く土寄せします。追肥も行います。雑草は適宜抜いて生えないように手入れします。

⑦病害虫対策をします。アブラムシは伝染病を媒介します。捕殺、天然の殺虫剤を散布するなどして害虫駆除します。葉が黒くなる、葉にモザイク状の模様、葉が萎れる、葉の緑が薄くなる、芋の中身が黒くなる、芋に褐色の斑点、芋の表面に黒褐色のホコリ状の物質、茎に病斑は病気のサインです。以下にじゃがいもの病気と対策を挙げておきますので参考にしてください。

・そうか病…イモの表面にかさぶたのような病斑が出来る。対策としてアルカリ性資材を控えます。3年間は間隔を空けて栽培し連作障害を防ぐ。
・疫病…葉が黒くなる病気。雨などで病原菌が土壌に残ると腐る。
・乾腐病…イモの中身が黒く変色する。生育不良になったり黄色く変色し枯れてしまう。植物を傷つけない。
・軟腐病…茎に病斑が出来て臭いを放つようになる。イモの表面に褐色の斑点が出来皮の下はクリーム状に腐る。水はけを良くして温度上昇を避ける。肥料過多になっている時もある。植物防御活性剤、生物防御剤を散布する。
・モザイク病…葉にモザイク状の模様が現れ進行すると葉が萎縮する。アブラムシが媒介するウイルスなのでアブラムシを飛来させない。
・青枯病…葉の鮮度が保たれたまま萎れてしまう。そのまま放置すると枯死してしまう。発生したら根こそぎ引き抜き乾燥させ焼却処分します。
・葉巻病…芽先に近い葉が巻き上がり葉の緑が薄くなる。アブラムシによる媒介なのでアブラムシを発生させない。
・黒あざ病…イモの表面に黒褐色のホコリ状の物質が付着する。深く土を被せない。

※アブラムシはアミノ酸を主食としています。肥料を多く与えすぎると成分にある窒素が光合成でアミノ酸に変化しアブラムシに食事を大量に与えてしまう原因になります。また風通しのあまり良くない場所ではアブラムシが発生する率は高くなります。株と株の間隔が狭すぎないように注意します。アブラムシは口針から植物の栄養を吸い取りますが例えば伝染病にかかった他の植物の汁を吸ったアブラムシが健全な植物の汁を吸った場合には健全な植物も伝染病にかかってしまいます。アブラムシの口針を通じて伝染病のウイルスは媒介します。アブラムシを飛来させないことが最も重要なことですが万が一にも発生してしまった場合には一番の対策は直ぐに手でとり除くことです。テープや歯ブラシで除去する方法もありです。牛乳や石鹼水を霧吹きで吹きかけるとアブラムシを窒息死させることができます。木酢液も効果はあります。

⑧2回目の土寄せをします。草丈が 30cm程に生長したら2回目の土寄せと追肥をします。太陽の光に当たるとじゃがいもは緑色に変色しメラニンという有害物質が生まれて食べられなくなります。じゃがいもを光に晒さないように土寄せは丁寧に行います。

⑨花が咲いたら摘み取ります。栄養を根茎に行き渡らせる為に花は摘み取ります。

⑩収穫します。葉が7割から8割程黄色くなったら収穫時期です。晴天の続く土が乾いた状態の時に収穫します。じゃがいもに付いた土は軽く落とし天日で乾燥し風通しの良い場所に保管します。

次の表はじゃがいも100g当たりの栄養素の含有量を示した表です。糖質、食物繊維、カリウム、マグネシウム、リン、葉酸、ビタミンCなどが突出しています。

エネルギー76kcal
たんぱく質1.6g
脂質0.1g
糖質16.3g
食物繊維(水溶性/不溶性)1.3g(0.6g/0.7g)
ナトリウム1mg
カリウム410mg
カルシウム3mg
マグネシウム20mg
リン40mg
0.4mg
亜鉛0.2mg
0.1mg
マンガン0.11mg
ビタミンA0μg
ビタミンD0mg
ビタミンE0mg
ビタミンK0μg
ビタミンB10.09mg
ビタミンB20.03mg
ナイアシン1.3mg
ビタミンB60.18mg
ビタミンB120μg
葉酸21μg
パンテトン酸0.47mg
ビオチン0.4μg
ビタミンC35mg

 カリウムは体の中の塩分を外に出す働きをします。その為に高血圧やむくみで悩んでいる人にとっては必要な成分です。

 マグネシウムやリンはカルシウムと共に骨を形成します。またマグネシウムは筋肉の緊張状況を柔らげる効果もあり疲労回復にも一躍買っています。

 葉酸は造血のビタミンと呼ばれ赤血球の原料となる栄養素です。また体の生育にも関わりを持ちます。

 ビタミンCは毛細血管や歯や軟骨を正常に保ち張りのある肌を形成するのに必要なビタミンです。免疫力も高め風邪予防にも効果が期待されますが加熱すると壊れやすく調理によりほとんど失われてしまいます。しかしじゃがいもに含まれるビタミンCはでんぷんである糖質に守られているので加熱処理しても失われることはありません。しかもカロリーはお米の半分ほどしかありません。お米の場合は100g当たり168kcalあるのに対し蒸したじゃがいもでは100g当たりのカロリーは半分である84kcalしか含まれません。たんぱく質、脂質、そして炭水化物である糖質(でんぷん質)の三大栄養素が含まれいるので主食の代わりもなります。

じゃがいもの保存はどうしたらよい?~冷凍すると水分が抜けてパサパサの食感になるじゃがいもを賢く冷凍する仕方~

 アンデスではアク抜きして粉にしたり乾燥したじゃがいもを水で戻して食糧としていました。じゃがいもは加工されて食べられていて文明の先駆けとしての存在価値もあった訳です。日本でも冷凍フライドポテトやカットしたじゃがいもが冷凍で売られています。じゃがいもはそのまま冷凍すると水分が失われてしまい美味しさも半減します。

 しかしポイントを踏まえて手間を少しかければ料理の手間も省けて色々な料理に応用出来てレパートリーが広がり一石二鳥です。そこでじゃがいもを冷凍する際に気をつけてほしいポイントを取り上げて見ました。知っていますという人も知らないという人も今一度確認して美味しくじゃがいもを食べましょう。

●基本的には常温保存…新聞紙に包んでまたは紙袋に入れてから新聞紙を被せる。風通しの良い涼しい場所に置く。

●りんごと一緒に保存するとエチレンガスが発芽を抑えてくれる。

●夏は野菜室にて保存…乾燥を防ぐ為に新聞紙で包みポリ袋に入れて口は緩く締め保存する。新聞紙が濡れたら取り替える。

●丸ごとそのまま冷凍保存…水洗いし芽を取り除き皮ごと丸のまま保存する。水気を切り皮ごとジップロックに入れて空気を抜き冷凍します。

・水分が抜けパサパサとした食感になるので自然解凍し茹でて煮物などにすると良い

●つぶしてマッシュポテトにして保存…マッシュポテトの余りや時短調理したい場合にはつぶして冷凍保存します。

・皮をむく

・小さく切る

・電子レンジで加熱する

・マッシャーなどで潰す

・ジップロックに平らに入れて空気をしっかり抜き封をして保存する

●カットしたら直ぐ水にさらして野菜室で保存…変色を防ぎアク抜きができる。2~3日を目安に使い切る。

じゃがいもは20℃以上になると発芽し傷みやすくなります。夏に陽の光を浴びると皮は緑色に変色しポテトグリコアルカロイドという有害物質が発生します。緑色に変色した部分は深くえぐり取り除くことで食べることはできます。万が一誤って食べると頭痛、腹痛、下痢、食欲減退、吐き気、嘔吐、頻脈などの症状が現れますから注意が必要です。じゃがいもの芽にも同じポテトグリコアルカロイドが含まれています。特に芽の根本部分に多いので芽の窪みの周面まで完璧に取り除くようにします。更に冷蔵庫で保存する場合には低温障害に気を付けます。じゃがいもは低温障害を起こすと傷みやすくなります。冷蔵室(2℃~5℃)ではなく野菜室(6℃~8℃)で保存するようにします。調理したじゃがいもは水分が多く含まれ傷みやすくなります。なるべく水分を飛ばして保存します。毎日火を入れると雑菌の繫殖が抑えられます。カレーに入っているじゃがいもは水分が抜けパサパサの食感となり美味しさが半減します。次の日カレーを食べる時に潰して食べればパサパサの食感を感じることなく食べられます。またじゃがいもだけ別にして冷凍しておき食べる分だけ足すと美味しいじゃがいものまま食べることができます。

じゃがいもは生で食べられないので茹でる必要があります。茹でるには鍋か電子レンジが便利です。

●水から茹でる…被るくらいの水を入れて沸騰したら中火から弱火で茹でる。熱湯から茹でると火が通りづらく表面が煮崩れすることがある。

●電子レンジで加熱して茹でる…ラップでふんわり包み回転皿の端に置き600Wで3~4分チンする。使う大きさに揃えることで短い時間で調理できる。

ご飯の代わりになり様々な調理が可能な万能な食材 ”じゃがいも” のレシピ。

ガレット

 日本人の定番の煮物料理やグラタンやコロッケ、シチュー、カレーなどの西洋料理、細切り炒めなどの中国料理、ポタージュ、ガレットなどのフランス料理、フォカッチャ(イタリアの平たいパン)等々じゃがいも料理は豊富に存在します。炒める和える焼く煮る揚げるの順にいくつかのじゃがいも料理レシピを抜粋しましたのでご紹介させて頂きます。じゃがいも料理の参考になさってください。

じゃがいものカレー炒め
材料(2~3人分):じゃがいも2個(300g)、Aバター大さじ1杯、カレー粉小さじ2杯、塩少々、こしょう少々、黒胡麻少量
①じゃがいもはラップに包み、500Wの電子レンジで約 42分加熱して半生状態にする。
熱いうちに皮を剥いていちょう切りにする。
※お湯で茹でる場合はいちょう切りにしてから水から約5分茹でる。
②フライパンにバターを熱し中火でいちょう切りにしたじゃがいもを炒める。
③食べて見て丁度良い固さになったらAを加えてさらに炒める。

じゃがいもの梅マヨ焼き
材料(2~3人分):じゃがいも2個(300g)、A梅干し(種を除きちぎる)、マヨネーズ大さじ2杯、マヨネーズ適量、粉チーズ小さじ2杯
①じゃがいもはラップに包み500Wの電子レンジで約7~8分加熱して中心まで柔らかくする。
熱いうちに皮を剝いて約1.5cmの角切りにし、10分茹でる。
②ボウルに茹でたじゃがいも、Aを入れて和えて耐熱容器に入れる。
③②の上にマヨネーズを格子状に絞り出し粉チーズを振ってオーブントースターでこんがりと焼き目がつくまで焼く。

ソラ豆入りポテトサラダ
材料(2~3人分):じゃがいも2個(300g)、そら豆7~8本、塩少々、マヨネーズ大さじ2~3杯、玉ねぎ1/8個、塩少々、レタス2枚、塩適量
①じゃがいもは水洗いしラップに包み、500Wの電子レンジで約5~6分加熱し中心まで柔らかくする。熱いうちに皮を剝いておく。
②そら豆はサヤから豆を取り出し皮に切り込みを入れる。塩茹でしてザルに上げ薄皮を剥く。玉ねぎはみじん切りにして塩少々を揉み込みキッチンペーパーで水気を拭き取る。レタスは水に晒しバリっとしたら水気を拭き取り、ひとくち大に切る。
③じゃがいもをマッシャーなどで潰しマヨネーズ、そら豆、玉ねぎを加えて混ぜ合わせる。レタスを乗せた器に盛りお好みで塩を振る。

じゃがいものガレット
材料(2~3人分):じゃがいも2~3個(300g)、ベーコン2~3枚、塩少々、オリーブ油大さじ1.5杯、サラダ菜適量、ケチャップ適量、粒マスタード適量
①じゃがいもの皮を剥きせん切りにする。(水に晒さない。)
※スライサーを使うと、手早くせん切りにすることができる。ベーコンはじゃがいもに合わせて細切りにする。
②ボウルにじゃがいも、ベーコン、塩を入れ混ぜる。
③フライパンにオリーブ油を熱し②を全体に広げ入れ、中火で焼き色がしっかりつくまで焼く。焼き色がついたら裏返して反対の面もしっかりと焼く。焼けたら食べやすい大きさに切り、器にサラダ菜と共に盛ってケチャップ、粒マスタードを添える。

じゃがいものポタージュ
材料(2~3人前):じゃがいも2個(300g)、玉ねぎ1/4個(50g)、牛乳400cc、パセリのみじん切り少々、固形スープの素1/2個、バター、塩、こしょう
①じゃがいもは皮を剝いて薄いいちょう切りにして、玉ねぎはみじん切りにする。
②鍋にバター10gを入れ弱火で熱し、玉ねぎを入れて透き通るまで1~2分炒める。じゃがいも、水400cc、固形スープの素1/2個を加えて蓋をして、じゃがいもが煮崩れするくらいまで約15分煮る。
③②を万能こし器などでこし鍋に戻し入れ、牛乳を加え、煮立ったら塩、こしょうを各少々加えて味を調える。

じゃがいものチーズコロッケ
材料(2人分):じゃがいも3個、プロセスチーズ1枚、牛乳大さじ1杯、片栗粉大さじ1杯、塩こしょう少々、サラダ油適量、卵1個、薄力粉大さじ1杯、水大さじ1杯、パン粉適量
①じゃがいもはひとくち大に切り、ボウルに入れ、5分水に晒してから水気を拭き取っておく。耐熱容器に入れてラップをかけ、600Wの電子レンジで6分加熱する。
②ボウルにじゃがいもを入れて潰し、片栗粉、塩こしょう、牛乳を加えて混ぜる。
③チーズを9等分に切り②の生地を包み丸める。
④容器に卵を入れて混ぜ薄力粉と水を入れ、滑らかになるまで混ぜる。じゃがいも全体にからむようにつけ、パン粉をつける。
⑤180℃に熱した油できつね色になるまで揚げる。
※チーズは色々な種類で試してみると味が変わるので面白い。

美味しいじゃがいもはどうやって見分けたら良いのか。6つの正しい選別ポイント。

食べるのなら美味しいじゃがいもを選びたいものです。そこで美味しいじゃがいもの見分け方を掲載します。

●傷やしわがない。→痛みやすい。生育不良。

●ふっくらして丸みがある。→水分も適度に含み育ちがよい。

●表面にしわがなく滑らかで凹凸がない。→しわの目立つじゃがいもは完熟している。

●皮が手で破れるほど薄い。→新鮮なほどじゃがいもの皮は柔らかい。

●芽が出ていない。→収穫から3~4ヶ月過ぎると芽が出て栄養分は芽に集約される。

●固くて重量感がある。→軽いものは中が空洞であったり水っぽい。

 男爵やキタアカリは大きさが中くらいのものを選ぶ大きすぎると中が空洞だったり水っぽかったりします。完熟したものは表面に網目模様が現れます。

 メークインやホッカイコガネは多少大きくても問題はありません。表面が滑らかでしわがないものを選びます。でこぼこしたものは生育不良です。

 じゃがいもは形がいびつであればあるほど自分を守ろうとソラニン、チャコニンなどの毒素を発生させます。じゃがいもを選ぶ時には形や色、表面の状態に気をつけて選ぶようにします。

 美味しいじゃがいも料理をあなたはいくつ挙げられますか。じゃがいもはアメリカでは米や麦の代用品として、アイルランドでは農民の食糧として、日本では飢饉対策のため栽培が始まりました。栄養豊富で保存が効くじゃがいもは非常食にももってこいです。今夜はじゃがいも料理で腕を振るって見ませんか。

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